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「民泊」の法律面からみた3つの問題点と課題

2016.05.26 時事ニュース

民泊は、前回の記事でお伝えしたように、宿泊不足の受け皿としての役割や地域活性化といった新たな経済効果が期待できる反面、多くの課題も抱えているのが現状です。特に、課題として大きいのが「法律面」で、民泊を普及させるためには「法律」を改正する必要が出てきます。
 
今回は、「民泊」によるビジネスを行う上で、課題となっている「法律」について見ていきます。
 

 

旅館業の問題

一般的な宿泊施設は「旅館業」に基いて営業が行われています。しかしながら、「民泊」の場合は一般の住宅に宿泊することになりますので、現行の「旅館業」と照らしあわせた場合、違法となる可能性もあります。
 
旅館業は、一般的なホテルとして営業する「ホテル営業」と温泉旅館等として営業する「旅館営業」、カプセルホテルとして営業する「簡易宿泊所」、学生など一定の期間に人を宿泊させる「下宿営業」の4つに分類されます。
 
民泊の場合、規制緩和を行いインターネットで簡易的な手続きをすることで「簡易宿泊所」として営業ができるよう検討が進められています。「簡易宿泊所」であればフロント設置の義務が無い点がありますが、その他にも、窓や防火器具、避難経路などの確保が必要で、火災などが起こった場合の対応を検討する必要があります。
 

建築基準法の問題

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都心郊外の一般住宅用途に限定し公募した小田急電鉄のニュータウン(神奈川県秦野市:筆者撮影)
 
一般的な住宅を「民泊」として貸し出す上で、もう一つの課題としては「建築基準法」の問題があります。
 
建築基準法は市街地化地域内にあるそれぞれの建物に対して「用途」が定められています。通常の居住用の建物であれば、「一戸建て住宅」や「共同住宅」、「長屋」で決められています。
 
一般的な住宅を「民泊」として営業する場合、「一般住宅」から「簡易宿泊所」に用途変更の手続きを行う必要があります。
 
しかしながら、市街地地域内で建築できる建物の用途が限定されている場合、用途変更が出来ません。例えば、都心郊外のニュータウンの多くは「一般住宅」に限定した用途のみを認めているケースが多く、「簡易宿泊所」に変更することにより、建築基準法に違反する恐れがあります。
 

消防法の問題

一般的な住宅を「民泊」として営業する場合、消防法の問題も懸念されます。
 
消防法では一般住宅と民泊として使用する広さ、共同住宅であるかによって消防用設備の設置の義務がことなります。民泊に占める面積の割合が50平方メートル以下であれば消火設備は不要とし、それより広い面積を民泊が占める場合や共同住宅で民泊を営業する場合は設置の義務が生じます。また、どの一般的な住宅でも自動火災報知設備の設置は義務となっています。
 
しかしながら、ビジネスとして民泊を行うのであれば、利用者の命を守るのは最優先事項であり、民泊の形態がどの様な形であれ、最低限の消火設備を設置しリスクに備えておく必要はあります。
 
知らずに消火設備を設置しておらず火災が発生する事故が各地で相次ぐことも予想されます。「知らなかった」とならないためにも、民泊の経営者に対して消防法の周知を徹底していく必要があります。
 

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2016.05.26 #時事ニュース

Takamichi Yoshikawa

吉川です。株式や債券を中心に投資を行う傍ら、投資や金融サービス、経済に関するウェブコンテンツの作成やウェブサイトの運営を行っています。当サイトでは、ビジネスの旬なネタをご提供いたします!


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