株式投資をする前に確認したい「IR資料」から読む売上と3つの利益とは?
投稿日 2016年6月17日 ライフハック
株式投資を行う際に、企業の健全性を判断する材料として、売上や利益などが事業活動を通じて、いくら得られているのか記載されている資料に「IR資料」があります。上場企業の多くは自社のWEBサイトに投資家向けのページを公開しており、そこでIR資料を確認できます。
今回は、投資したい企業の業績は健全なのか、将来にわたり事業が持続可能であるか判断するために、「売上」と「営業利益」と「経常利益」、「当期純利益」の3つの利益について解説します。
企業が事業活動で得た全体収益「売上高」
マツモトキヨシホールディングスの売上高推移(筆者作成)
株式投資を始めるにあたり、売上高の推移は、企業が事業活動でどれだけ売り上げを得ているか知る上で重要な数値で、事業活動を通じて社会的な需要にどれだけ応じているのかを知る手がかりとなります。
例えば、マツモトキヨシホールディングス(千葉県松戸市)では、平成28年3月期の決算では、売上高4,032億82百万円(前年同期比11.2%増)と過去最高を記録しています。
外国人観光客に特化した新店舗を5店舗に加え、新規店舗を83店舗開業、将来業績に貢献が難しい店舗59店舗を閉店することで、政府が掲げている外国からの訪日客の取り込み需要に対応する他、新規店舗を開店し、売上等が厳しい店舗を閉店することで、需要が高い地域に店舗を集約したことで売上高を伸ばしています。
特に、小売業の株式を購入する際には新規店舗の開店ペースで売上高が増える傾向があり、重要な数値と言えます。ただし、あまりにも新規店舗を急激に拡大している場合、予想以上に売上が苦戦する店舗を抱えるリスクも増えますので注意が必要です。
事業活動を通じて得た利益「営業利益」
営業利益は、企業が事業活動を通じて得た利益を示す数値です。
全体の「売上高」から仕入れ値などの「売上原価」を差し引いた「売上総利益」から、従業員への給料「人件費」や「広告費」、「光熱費」などの「一般費および一般管理費」を差し引いて計算します。
営業利益から本業以外の収益を加味した「経常利益」
マツモトキヨシホールディングスの売上高と営業利益、経常利益の推移(筆者作成)
営業利益から、受取利息や配当金、為替差損益、株式売却益などの「営業外損益」を加減したものを「経常利益」といいますつまり、本業以外から得た収益を加味したものです。
株主への配当に直結する「当期純利益」
当期純利益は、経常利益から特別損益を加減し、その利益によって発生する税金を差し引いて見積もった利益のことを言います。また、株主への配当に直結する部分でもあり、年に2回程度行われている配当金は「当期純利益」から支払われます。
特別損益とは、臨時に発生した収益のことで、本社の移転に伴う引越やビル契約に伴う費用、建物や土地など固定資産を売却した際に得た資金を指します。
例えば、パナソニック株式会社(大阪府門真市)が中国勢との価格競争で採算が厳しかったプラズマテレビ用液晶パネル生産からの撤退を受けて、茨木工場(大阪府茨木市)を「大和ハウス」へ、尼崎工場(兵庫県尼崎市)を投資会社「レッドウッドグループ」に売却することで合意しています。
不採算事業撤退からの遊休資産売却は当期純利益に直結する内容として投資家にとっては好感できる材料となるわけです。
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2016.06.17 #ライフハック
Takamichi Yoshikawa
吉川です。株式や債券を中心に投資を行う傍ら、投資や金融サービス、経済に関するウェブコンテンツの作成やウェブサイトの運営を行っています。当サイトでは、ビジネスの旬なネタをご提供いたします!
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