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レンタルサーバーの選び方(法人向け)|障害や事故で困らないための7つの確認点

投稿日 2026年11月7日 WEB・PC関連

ホームページやメールを置くレンタルサーバーは、料金や速さで比べられがちです。しかし会社で使うなら、本当に差が出るのは「止まったとき」「事故が起きたとき」です。2026年10月には、PHPの重大な脆弱性への対応で一部のレンタルサーバーでサイトの表示が一時的に止められたり、あるクラウドサービスが不正アクセスを受けて全プランを停止したりと、「サーバー側の対応や事故で使えなくなる」出来事が続きました。

先に結論をお伝えします。法人でレンタルサーバーを選ぶときは、「稼働率とSLA」「戻せるバックアップ」「攻撃への守り」「古いソフトの扱い」「障害の知らせ方と相談の窓口」「会社としての契約」「移転のしやすさ」の7つを、契約の前に確かめてください。どれも契約したあとでは自分では変えられないものです。

この記事では、北海道千歳市でホームページの制作と保守をしている私たちが、日々のサーバーの点検や障害対応で「ここを見ておけばよかった」と感じた点をまとめました。特定のサーバー会社をすすめる記事ではありません。

会社の机でノートパソコンを開き、サーバーの契約内容を見比べている様子

この記事でわかること

・会社のレンタルサーバーを「止まったとき」で選ぶ理由
・契約の前に確かめたい7つの点と、見るべき場所
・稼働率99.9%と99.99%の差、SLA(品質保証)の読み方
・ドメイン・メール・サイトを分けて「逃げ道」を残す考え方

なぜ「止まったとき」で選ぶのか

レンタルサーバーは、多くの会社の大切なものをまとめて預かっています。ホームページだけでなく、お問い合わせフォーム、会社のメール、採用ページなどが同じサーバーに載っていることも少なくありません。サーバーが止まると、それらが一度に使えなくなります。

2026年10月には、次のような出来事がありました。

  • PHPの重大な脆弱性への緊急対応:多くのホームページを動かしているPHP(ホームページを動かすプログラムの言語)に重大な脆弱性(セキュリティ上の弱点)が見つかり、レンタルサーバーの会社が緊急の対応に追われました。たとえばロリポップ!は、10月22日の未明から昼ごろまで一部サーバーのサイト表示を止めて修正を当てたと報告しています(ロリポップ!の報告)。
  • クラウドサービスの全プラン停止:ホームページ用のレンタルサーバーではなく、FXの自動売買などに使われる、インターネット上で24時間動かせるパソコン(仮想デスクトップ)のサービスですが、「お名前.com デスクトップクラウド」で第三者による不正アクセスが見つかり、10月21日から全プランのサーバーが順次停止されました。影響の可能性があるサーバーは26,739件で、最初のお知らせ(10月21日)の時点では再開の時期は未定とされ、その後も続報が出ています(お名前.comのお知らせ)。

どちらも、利用者の側では防ぎようのない出来事です。どのサーバー会社でも、障害やメンテナンスは起こり得ます。だからこそ、「起きたときに、どれだけ早く知れて、どこまで戻せて、いざとなれば移れるか」を契約の前に確かめておくことが、会社としての備えになります。

契約の前に確かめたい7つの点

確かめたい点を一覧にしました。多くはサーバー会社の「サービス仕様」「機能一覧」「サービス品質保証(SLA)」「よくある質問」のページに書かれています。

確かめる点 見るところ・聞くこと
1. 稼働率とSLA 保証する稼働率の数字、下回ったときの返金の条件、対象外になる場合
2. 戻せるバックアップ 自動で何日分を取るか、ファイルとデータベースの両方か、戻すのに費用や申し込みが要るか
3. 攻撃への守り WAF(攻撃のようなアクセスを止める仕組み)、ログイン画面の守り、管理画面の2段階認証
4. 古いソフトの扱い PHPの版(バージョン)を自分で切り替えられるか、古い版をいつまで使えるか、終わるときの案内
5. 障害の知らせ方と相談の窓口 障害・メンテナンス情報のページ、お知らせメール、電話の受付時間
6. 会社としての契約 会社名義で契約できるか、請求書払い、担当者が替わっても引き継げるか
7. 移転のしやすさ データを丸ごと取り出せるか、ドメインやメールを別に持てるか

1は「止まりにくさ」、2〜4は「壊れても戻せるか」、5〜6は「困ったときに知らせてもらえて相談できるか」、7は「いざとなれば移れるか」のための点です。料金や速さは、これらを満たした候補の中で比べるのがおすすめです。

レンタルサーバー選びで確かめたい4つの観点(止まりにくさ・戻せるか・知らせと相談・逃げ道)をまとめた図

止まりにくさ:稼働率とSLAの読み方

99.9%と99.99%は「1年で8時間」の差

稼働率は、ある期間のうちサーバーが正常に動いていた時間の割合です。数字の差は小さく見えますが、止まる時間に直すと大きく違います。

稼働率 1年で止まる時間の上限の目安 1か月の上限の目安
99.9% 約8時間45分 約43分
99.99% 約52分 約4分

SLAは「返金の約束」。対象外の条件まで読む

SLA(サービス品質保証)は、決めた稼働率を下回ったときに利用料の一部(大きく下回れば全額)を返す約束です。たとえばXServerビジネスでは、稼働率が99.90%以上99.99%未満なら月額利用料の10%を返すなど、止まった時間に応じた段階が決められています(エックスサーバー社の解説)。

ただし、SLAで返ってくるのは利用料までで、止まっている間に逃したお問い合わせや売上は戻りません。また、予定されたメンテナンス、第三者からの攻撃、天災などは対象外とされることが多く、表示が遅いだけの状態も多くは含まれません。数字の大きさよりも、「SLAを書いて公開している会社かどうか」「対象外の範囲がはっきりしているか」を見るほうが、会社の姿勢を知る手がかりになります。

共用のサーバーは「混み合い」も起こる

月額数百円〜千円台の多くのプランは、1台のサーバーを多くの利用者で分け合う「共用」です。ほかの利用者のサイトにアクセスが集中すると、自社のサイトまで遅くなることがあります。問い合わせが多い会社や、ネットで注文を受ける会社は、1つの契約ごとに使える力(CPU・メモリ)があらかじめ割り当てられている法人向けプランや、上位のプランも候補に入れてください。

戻せるか:バックアップと攻撃への守り

「バックアップあり」の中身を確かめる

今は多くのレンタルサーバーが自動でバックアップを取っています。確かめたいのは「あるかどうか」より「どこまで戻せるか」です。

  • 何日前まで戻せるか:改ざんやウイルスは、気づくまでに何日もかかることがあります。数日分しかないと、気づいたときには汚れたデータしか残っていないこともあります。
  • ファイルとデータベースの両方か:WordPressは、画像などのファイルと、記事や設定が入ったデータベースの両方がそろって初めて元に戻ります。
  • 自分で戻せるか、費用がかかるか:管理画面から自分で戻せるサービスもあれば、申し込みと費用が要るサービスもあります。
  • サーバーの外にも控えがあるか:サーバー会社のバックアップは、サーバー会社が止まると一緒に使えなくなります。大事なサイトは、月に1回でも、別の場所(社内やクラウドの保管場所)に控えを持っておくと安心です。

IPA(情報処理推進機構)も、中小企業向けの資料の中で、クラウドサービスを使うときの確認点としてバックアップや事業者の対応を挙げています(IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版の付録7「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」)。

攻撃への守りと、古いソフトの扱い

WAF(攻撃のようなアクセスを自動で止める仕組み)や、WordPressのログイン画面を海外から使えなくする設定など、サーバー側で用意されている守りは、自社で一から作るより手軽で確実です。あわせて、サーバーの管理画面そのものに2段階認証をかけられるかも確かめてください。管理画面に入られると、サイトもメールもまとめて書き換えられてしまいます。

もう1つ大事なのが、PHPなど土台のソフトの版です。版を自分で切り替えられるか、古い版がいつまで使えるか、終わるときにどう案内されるかで、更新の計画の立てやすさが変わります。PHPの切り替えで表示されなくなったときの直し方は、PHPを上げたらホームページが真っ白に?で詳しく説明しています。

外付けの保存装置とノートパソコンが並ぶ机。サイトの控えを別の場所に保管するイメージ

知らせと相談:障害の情報と窓口、会社としての契約

障害が起きたときの動きを想像してみる

サイトが急に見られなくなったとき、まず知りたいのは「自社だけの問題か、サーバー全体の問題か」です。サーバー会社が障害・メンテナンス情報のページやお知らせメールで早く知らせてくれれば、慌てて自社のサイトをいじる必要がなくなります。

サイトが見られないときの動き。障害情報の確認から、自社の切り分け、サーバー会社への連絡、お客様への案内までの流れ図

  • 障害・メンテナンス情報のページ:過去の障害がどのくらいの頻度で、どのくらいの時間で直ったかも分かります。契約の前に一度見ておくと参考になります。
  • 相談の窓口:メールだけか、電話もあるか。電話の受付は平日の日中だけ、ということも多いので、時間帯も確かめます。
  • お知らせの届く先:お知らせメールが、辞めた担当者や使っていないアドレスに届いていないかも確かめてください。

エラーの種類から自社とサーバーのどちらの問題かを見分ける方法は、ホームページが「503」「500」エラーで見られないときの原因と対処にまとめています。

会社として契約する

意外に多いのが、社員や制作会社の個人の名前・個人のカードで契約されているケースです。担当者が辞めたり連絡が取れなくなったりすると、更新の案内が届かず、契約が切れてサイトもメールも止まる、ということが起こり得ます。契約者は会社、連絡先は会社の共有のアドレス、支払いは会社のカードか請求書払いにしておくと、人が替わっても困りません。ログインの情報は、会社として決めた場所に保管しておきましょう。

逃げ道を残す:ドメイン・メール・サイトを分けて考える

サーバーを選ぶときに見落とされがちなのが、「いざというときに別のサーバーへ移れるか」です。ここで大事なのが、ドメイン(会社の住所にあたる名前)、メール、ホームページを、それぞれ別のものとして考えることです。

  • ドメインは会社の資産:ドメインの契約がサーバーとひとまとめになっていても、会社名義で、会社が管理画面に入れる状態にしておきます。ドメインさえ押さえていれば、サーバーが止まっても行き先を別のサーバーに向け直せます。
  • メールは「止まると困る度合い」で決める:ホームページとメールが同じサーバーにあると、サーバーの障害で両方が止まります。メールが止まると仕事にならない会社は、メールを別のサービスにしておくのも1つの方法です。設定のときは、迷惑メール扱いを防ぐ設定(SPF・DKIM・DMARC)も忘れずに(独自ドメインメールが迷惑メール行きになる前に確認すべき設定)。
  • データを丸ごと取り出せるか:ファイルとデータベースを自分で取り出せるサーバーなら、移転の自由があります。

エックスサーバー社のサービスどうしの違いと選び方は、エックスサーバー系4サービスの違いと選び方でも紹介しています。

実例:私たちの保守の現場で起きたこと

実例1:サイトが急に重くなった原因は、サーバー全体の混み合いだった

ある朝、保守をしているサイトが「開くまでとても時間がかかる」状態になりました。調べると、同じサーバーに載っているほかのサイトも画像の表示まで数秒〜数十秒かかっていた一方、別のサーバーのサイトは1秒前後で開いていました。そこで、サイトの問題ではなくサーバー全体の混み合いと判断し、サイトには手を加えずに様子を見たところ、15分ほどで元に戻りました。比べる相手(別のサーバーのサイト)があると、原因の切り分けが早くなります。

実例2:PHPの緊急対応の夜に、1サイトずつ確かめた

2026年10月のPHPの脆弱性のときは、保守をしている複数のサイトで、サーバー会社の対応を確かめながらPHPの版を1サイトずつ上げ、表示とお問い合わせフォームの動きを確かめました。PHPの版を管理画面から自分で切り替えられるサーバーだったため、問題が出たサイトはすぐに元の版に戻して、原因を直してから上げ直すことができました。

実例3:バックアップが「公開の場所」に置きっぱなしだった

毎晩のサーバーの点検で、サイト丸ごとのバックアップのファイルが、外から見られる場所に残っているのを何度か見つけています。作業の前に手で取ったものを消し忘れたもので、ファイルの名前が分かれば誰でもダウンロードできる状態でした。見つけたものは外から見られない場所へ移しました。バックアップは、取るだけでなく「置き場所」まで含めて管理する必要があります。

やってはいけないこと

  • 料金の安さだけで決める:月数百円の差で、障害のときの知らせ方やバックアップの範囲が大きく違うことがあります。
  • 個人の名前・個人のカードで契約したままにする:人が替わったときに、契約の更新や管理画面へのログインができなくなります。
  • バックアップをサーバー会社まかせにする:サーバー会社が止まれば、そのバックアップも使えません。大事なサイトは別の場所にも控えを持ちましょう。
  • 止まったときに、慌てて自社のサイトをいじる:サーバー全体の障害なら、触っても直りません。まず障害情報を確かめ、自社の問題かどうかを切り分けてから動きます。

まとめ

  • 会社のレンタルサーバーは、料金や速さより「止まったとき・事故のとき」で差が出る
  • 契約の前に、稼働率とSLA・戻せるバックアップ・攻撃への守り・古いソフトの扱い・障害の知らせ方と窓口・会社としての契約・移転のしやすさの7つを確かめる
  • SLAは利用料の返金の約束。対象外の範囲まで読む
  • バックアップは「何日前まで・何を・自分で戻せるか」を確かめ、別の場所にも控えを持つ
  • ドメイン・メール・サイトを分けて考え、いざとなれば移れる逃げ道を残す

株式会社ツヨシオカでは、北海道千歳市を拠点に、ホームページの制作から、サーバーの選定・移転、毎日の点検やバックアップを含む保守までお手伝いしています。「今のサーバーのままで大丈夫か見てほしい」「契約が誰の名前になっているか分からない」といったご相談も、お気軽にお寄せください。

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2026.11.07 #WEB・PC関連

吉岡 毅(株式会社ツヨシオカ 代表取締役)

北海道千歳市の株式会社ツヨシオカ代表。中小企業や団体のWordPressサイトの制作と保守を手がけ、サーバーの管理やセキュリティ対策、PHP・WordPressの更新まで一貫して対応しています。

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